・鯖を生で食べる方法が知りたい
・アニサキスが少し不安だけど対策はある?
こんにちは、京都で鯖寿司を提供している朝日屋です。
今回は、上記の疑問にお答えします。
鯖(さば)のお刺身を食べたいと思っても、スーパーには売っていないし、お寿司屋さんでもあまり見かけないですよね。青魚のお刺身は、「鮮度」と「アニサキス」の問題があって、一昔前までは海に近い地元の人しか食べられませんでした。
しかし現代では「保存技術」や「配送技術」の進歩によってアジやサンマなどの青魚は、一般的にお刺身で食べられるようになりました。ただ、特に足がはやい鯖は、今でも生食は(一般的には)避けられています。
そこで本記事では「鯖を刺身で食べる方法」「アニサキス対策」について、まとめてみました。
鯖を生の刺身で食べる方法
鯖をお刺身で食べるには、鮮度(スピード)とアニサキスの問題をクリアする必要があります。
アニサキスは水分の多い内臓に寄生していますが、鯖をシメると可食部(身の部分)に潜り込んでしまうという性質があるからです。言い換えれば、鯖の水揚げと同時に内臓を取り除いてしまえば、アニサキスのリスクをかなり抑えることができる、ということです。
生鯖を扱っている業者さんは、水揚げから港に到着、加工するまでの工程を徹底管理して、安全な生鯖を出荷しているのです。素晴らしい企業努力ですね。
<生鯖を扱っている業者さんの出荷工程(例)>
①鯖の水揚げから素早く氷水に浸します。
アニサキスは低温に弱いため、氷水に浸すことで動きを鈍らせます。
②工場で素早く内臓を取り除き、切り身にして真空パックにします。
内臓を取り除くことで、アニサキスそのものを取り除きます。
③冷凍保存
-20度で24時間冷凍するとアニサキスは死滅します。
<補足>
普通のスーパーや魚屋さんで売られている鯖の生食は難しいです。次の章からは、一般的なアニサキス対策について解説していきますので、もう少し読み進めてみてください。
アニサキス対策を解説(簡単)
アニサキス対策1:冷凍する
アニサキス対策2:加熱処理する
アニサキス対策3:目視で確認する
アニサキス対策4:よく噛んで食べる
アニサキス対策5:新鮮なサバを選ぶ
順番に見ていきましょう。
アニサキス対策1:冷凍する
アニサキスは低温に弱く、冷凍することで死滅させられます。-20°Cで24時間以上冷凍するのが目安です。自宅の冷凍庫の設定温度が-20°Cにできなければ、冷凍する時間を増やしてみると良いでしょう。
アニサキス対策2:加熱処理する
アニサキスは熱に弱く、加熱することで死滅させられます。70°C以上なら瞬時に死滅し、60°Cなら1分の加熱で死滅します。
鯖の味噌煮や塩焼き、天ぷらなどの加熱する料理であれば、アニサキスを気にせず食べることができます。
アニサキス対策3:目視で確認する
アニサキスは、2〜3cmの大きさがあるため目視で確認できます。包丁でサバを切った後や調理の際は、断面・表面を確認してみましょう。注視すれば、目視でもある程度、取り除くことができます。
アニサキス対策4:よく噛んで食べる
アニサキスは刺激に弱く、傷がつくとすぐに死滅する生き物です。あらかじめ可食部(身)に細かく切り目を入れておくのも効果的でしょう。アニサキスには毒素がないので、死んでしまえば、万が一、食べてしまっても問題ありません。
アニサキス対策5:新鮮なサバを選ぶ
内臓がついている鯖を購入する際は、できるだけ新鮮な魚を選んで速やかに内臓を取り除きましょう。アニサキスは魚の内臓に多く寄生していて、さらに魚をシメて時間が経つと、内臓から可食部(身)に移動する性質があります。
新鮮な魚を購入することで、アニサキスが可食部(身)に移動する可能性を減らせます。
そもそも鯖にいるアニサキスとは?基本情報を解説
そもそもアニサキスとは?といったことから、基本情報をさらっとみてみましょう。
- アニサキスとは
- アニサキスの種類
- アニサキスの見つけ方
- アニサキスに感染した際の症状
- アニサキスに感染した際の治療法
1.アニサキスとは
アニサキスとは寄生虫(線虫)の一種です。長さは2〜3cmで、幅は0.5〜1mm程度の大きさがあります。魚の表面や捌いたときの身の中を確認すると、白色の糸のように見えるのが特徴です。
アニサキスはサバに限らず、アジやサンマ、イカなどの魚介類に寄生しています。通常は内臓にいますが、魚が死んで時間が経過すると筋肉に潜り込む性質があります。
2.アニサキスの種類
アニサキスは、1種類だけではありません。
主な種類は、以下のとおり。
- アニサキス・シンプレックス(太平洋側に多い)
- アニサキス・ペグレフィ(日本海側に多い)
- シュードテラノーバ(北に多い)
中でもアニサキス・シンプレックスとアニサキス・ペグレフィが、国内で検出されることが多いとされています。
3.アニサキスの見つけ方
アニサキスは、内臓にいることが多いです。魚が死んで時間が経過しているものは、内臓から筋肉に移動していることもあります。
サバを捌いて内臓や身を確認してみると、白い糸のようなものや茶色・黒色の斑点が見えたらアニサキスがいる証拠です。内臓や腹側の身を重点的に探してみましょう。
4.アニサキスに感染した際の症状
アニサキスに感染すると、以下の症状がみられます。
- 胃アニサキス症:食後数時間から十数時間後に上腹部痛や悪心、嘔吐がなどの症状が現れる
- 腸アニサキス症:食後十数時間から数日後に下腹部痛や腹膜炎、嘔吐、発熱などの症状が現れる
同じ食事をしても、全員に症状が出るわけではありません。発症する方もいれば、しない方もいます。
5.アニサキスに感染した際の治療法
アニサキスを駆除する効果的な薬はありません。症状が現れたら、速やかに医療機関を受診する必要があります。
胃にアニサキスがいる場合は、内視鏡での摘出が可能です。摘出したら、アニサキスの症状は治ります。腸にアニサキスがいる場合は、直接摘出できません。内視鏡が難しい場合は、薬で症状を抑えることもあります。
鯖のアニサキス対策(番外編)
鯖のアニサキス対策でよくある認識違いについての補足です。
1.酢はアニサキス対策になる?
アニサキスは酢を使っても死滅しません。
ご家庭でシメ鯖を作る際は、一旦冷凍してから作るようにしましょう。
2.養殖鯖にアニサキスはいない?
養殖鯖は天然ものよりアニサキスがいる可能性は低いと言われています。
ただし「養殖鯖にアニサキスはいない」とは言い切れません。養殖に、オキアミやイカナゴなどの生餌が使われると、アニサキスが寄生する確率は上がります。養殖鯖でも、アニサキスが寄生している可能性があるので注意が必要です。
まとめ
鯖をお刺身で食べるには、鮮度(スピード)とアニサキスの問題をクリアする必要がありました。
アニサキスは鯖の内臓に寄生していますが、鯖をシメると可食部(身の部分)に潜り込んでしまうという性質があるからです。
釣りをする人であれば、鯖を釣ってすぐに内臓を取り除くと、アニサキスのリスクがかなり減るということになりますね。(100%防げるわけではありません)
また「冷凍」や「加熱処理」を行うことで、アニサキスは99%死滅させられると言われていますので、ご参考いただければ幸いです。
アニサキス対策1:冷凍する
アニサキス対策2:加熱処理する
アニサキス対策3:目視で確認する
アニサキス対策4:よく噛んで食べる
アニサキス対策5:新鮮なサバを選ぶ
本記事は以上となります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
※朝日屋では、その時期に手に入る新鮮な極上鯖を使用し、アニサキス対策も徹底して鯖寿司を提供しております。